社会企業家やBOPビジネスのイベントがよく満員に達するのはよくわかる。
ビジネスを用いて、国内外の貧困をなくしつつ、自分も設けるという「WINWIN」であり、とても美味しい話。
NGOなどは給与が低いし、また国連職員になるには時間と教育上の投資が必要だ。
政府系の職員は狭き門であるし、また狭い国益論に縛られている日本では本当に地域住民のための支援も限られている。
ただBOPビジネスはまだまだ発展途上の概念。
中にはBOPを謳い、途上国で搾取まがいの事業もある。(土地の買占めなど・・・)
またBOPビジネスや社会企業には出来ることと出来ないことがある。
(これはNGOにも同じことが言える。)
ビジネス的手法を用いての貧困克服は万能ではないし、決して全てのイシューに対応できるわけではない。
国家規模で教師や医師の増加を図ったりや頭脳流出を止めるためには行政のエンパワーメントこそが必要であるし、そうした土壌を作り上げるのはNGOや企業、著名人という市民社会のイニシアティブが必要である。
その上で、BOPビジネスの可能性を探ることは有意義なことだるし、政府、国連、民間企業、大学、NGOが有機的にカバーし合い、貧困の克服に最大効果のある手法をとる必要がある。
ただ学生を中心に多くのBOPビジネス信奉者の中には、この分担的作業に関する視点が欠けていて、盲目的にBOPに傾倒している方が多く見られる。
この点には懸念を覚える。
BOPビジネスには、地域の人びとの社会的エンパワーメントを内包していないことや、現地の社会的差別を乗り越える工夫のないものもある。
より多角的な視点から現状を分析し、最も効果的な手法を行えるような分野間を越えた協力こそが必要なように思える。