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オーストラリアの若者フェアトレード会議報告-Fairly Educated 2015 3日目

オーストラリアのアデレードで2015年7月4日から3日間の日程で開催される若者によるフェアトレード運動の会議に参加しました。3日目が終わったので、早速ですが、3日目のレポートをします。
2日目まではアデレード大学の学生自治会ホールが会場でしたが、3日目からは場所を市の中心部?(アデレードは町が小さいのでどこが中心かわかりにくいですが。。。)にあるフレンダース大学に会場が移動となりました。

Campaigns Soapbox-社会を変える活動を知る-
3日目はDrive the changeということで、フェアトレード及び関係する社会問題にかかわる6つのグループがプレゼンテーションを行いました。

Vgen(Vision Generation)
VGenはワールド・ビジョン オーストラリアのユースムーブメント(ユース機構)であるVision Generation(通称VGen)のことで、彼らは2015年は主に「オーストラリアの援助予算」と「児童労働」にフォーカスしているとのことです。
別途、VGenのメンバーと仲良くなり話を聞いたところ、ワールド・ビジョン オーストラリアは主に資金調達に注力しているとのことで、アドボカシーやキャンペーンの主力はVGenが担っているそうです。日本のワールド。
なお、以前ブリスベンでビジョン・ジェネレーションが実施した援助に対するメディアアクションについては、別途記事を記載しているので、ぜひこちらをごらんください。

Oaktree
私が好きなNGOにも入っているOaktreeも説明に来ていました。彼らは自分たちのことを若者が主導するムーブメントと名乗っていて、極度の貧困は決して受容することができないというメッセージを出していました。
Oaktreeはオーストラリア国内で1万人を超えるメンバーがいて、気候変動などに対して運動を行っているとのことです。
また、Live behind the lineという1日2ドル以内で生活するチャレンジをオーストラリアで実施している団体でもあります。実は私も2ドルで生活の実験をしたことがあり、それは別途記事にしています。

Stop The Traffik
人身売買に取り組む団体で他のグループと連携して啓発を行っているそうです。
彼らの啓発で使われていた「2700万人が奴隷的状況にある」という言葉が印象的でした。

Fashion Revolution
2015年4月15日に日本でも行われたソーシャルメディア中心のキャンペーンで、数年前にバングラデシュのRana Plazaでの工場事故(2,000人以上が働き、従業員の8割が18歳から32歳の女性だった工場の倒壊事故)をきっかけとして、ファッションに関わる人権侵害にたいする運動です。
なお、Australian Fashion Reportというレポートを発行している。

Seven Women
2013年にFairly Educated Conferenceに参加したときに出会ったLauraが活動をしている団体。ネパールの体に障害のある女性たちを支援している。彼女たちがつくった商品をフェアトレードとして輸入し、オーストラリア各地で販売が行われている。2006年以来、800人の助成を支援。震災後も継続して支援を続けている。
主な参加方法としては、「商品の購入」、「活動に対する寄付」、「ボランティア」を紹介していた。

Etiko
1日目から参加している陽気でハスキーボイスが素敵なおじさま、Nickが働く団体。スポーツに関連するフェアトレード商品を主に販売している。
Nickは自団体の紹介に加えて、スウェットショップに反対する学生の運動であるUnited Students Against Sweatshopsも紹介しました。(面白いですね。)

United Students Against Sweatshops
http://usas.org

*なお同じ時間帯でフェアトレード大学運動に関心のある学生はスタッフと個別面談ができるようになっていました。

最終日の講演はどれもアクティビズム要素が高かった
続いて、2つの基調講演が行われました。まず、Dreaming and Drivingと題して、オーストラリアで難民や移民に関わる理解促進に取り組むWelcome to Australia の職員から社会への発信に関するお話がありました。
「同じグループの人に話をしても変わらない」
「次のステップとして新たなヒトへのアプローチをすること」
を強調し、これまでのアクティビズムには入ってこない人々もターゲットにする必要性を訴えていました。
(ただし、これはオーストラリアでのことであって、日本ではもう少し考え方を変えないといけないと思います。)
主な活動としては、ウェルカムバーベキューや協力する芸能人を獲得し、どう多くの世論を味方につけるかを重要視しているとのことです。
そして、キャンパスでの活動として、多くの人々を巻き込むことと成果を分かち合うことの重要性を訴えていました。(これについては日本も同じだと思います。)

その次のセッションとして、Sustainable Behavior Change -Drive the changeと題してアデレード大学の職員(教授ではない)が講演をしました。まず、サステイナビリティに関心のある大学が参加するキャンペーンがあることも紹介されました。そして、人々の行動変容に必要なこととして、以下の5つのことを上げていました。
1. 行動変容を促す事柄を決定する
2. 障害と実施した際の利益を明確にする
3. 戦略を構築する
-コミットメント(チームビルディング)
-社会的規範
-社会への普及?(Social Diffusions)
-促進?(Prompt)
-コミュニケーション
-インセンティブ
-手軽さ
4. 試作
5. 実行

彼女の講演は非常に面白く、人間の思考についての科学的考察が多くありました。人間が本能的に周囲に従いやすいことをエレベーターの中で1人以外の全員が立っている向きを変えるとその一人も向きを変えるという実験の紹介されました。
また、参加者に対してはメッセージを強くするために、個人の、そして、コミュニティのゴールが必要であることを強調していました。

キャンパスでの行動に注力する
昼食前のセッションとして、会議の主催者である学生Willのリードによって、Logical Campaigning from the start to finishが行われました。フロアディスカッションの形式をとり、2日間で学んだ事を踏まえて、キャンパスで行動をしていくうえでどのようなリーダーシップが求められ、その上で、一人ひとりが会議後に何をするのかが話し合われました。
私もいくつかコメントをすることで話し合いに参加させてもらいました。


次世代を担っていくこと
昼食後、Your Future in this movementと題して、Fairly EducatedのコーディネータであるBecと2013年度のコーディネータであるLauraの司会によって、最後のセッションが行われました。
まず、Becがなぜ個人としてこの活動に参加するのか、そして、Fairly Educatedの歴史が紹介されました。そのうえで、課題と学び、受けているサポートが紹介されました。

<組織課題>
・組織体制の維持の難しさ
・外部への広がりの弱さ
・戦略性の欠如
・会議後のサポートの少なさ
・フェアトレード業界内での認知度の低さ
・動員力の低さ
・スキルの限界
など
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<学び>
・小さな成功を祝福すべきこと
・自分たちの行動する原理をしっかり持つこと
・自分が安定していなければサポートなんてできないこと
・協力者を見つけること
・可能性があること
・フレンドリーなアプローチをとるべきこと

<どういうサポートを受けているのか>
・周囲の人々(大人)からのサポート
・大学のサステイナビリティ関係の部署の職員からのサポート
・The Fair Trade Association, Fair Trade Australia New Zealand, NGOs, 企業
・創設者
・海外の協力者
・会議参加者
・会議に参加していない学生

上記をクリアにしたうえで、「1年間活動するグループをつくろう」というタイトルで周囲の参加者と話し合いをすることとなりました。グループの基準として以下の事柄が提示され、「フェアトレード大学運動を達成するうえで何を見たいか?」、「そのために何が必要か?」という質問をグループごとに話し合われました。
・月1回の打ち合わせ
・1年に1度は実際に会って打ち合わせをする
・最低でも週に4時間程度の活動をする
・プランをつくる
・次のFairly Educated Conferenceを地域からサポートする
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この会議に参加してすごいと思ったのは、この時点で残り時間が30分程度だったにもかかわらず、すぐに参加者から「地域ごとに組織を超えて枠組みを作った方がよい」という意見が出て、具体案をベースに話し合いがここに始まりました。そして、20分のディスカッションで多くの意見が出てきました。
日本では、もっと時間が必要になるように思います。

その後、休憩を挟んで少人数のグループで振り返りが行われ、Fairly Educated Conferenceは終了となりました。

ソーシャルイベントもオーガニック
なお、私は打ち上げ的なソーシャルイベントに参加しました。 打ち上げは市内にあるオーガニックカフェで行われ、ベジタリアンな食事が提供されました。非常においしかったです。
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また、草の根でお店を経営している女性と仲良くなり、既存のフェアトレード運動、特に学生たちの活動が社会運動と乖離してしまいがちなことや世界の中で自分たちを認識するという視点が少ないことなど非常に興味深い話し合いをすることができました。
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最後に
今回は運営も手伝いをした関係で内部のマネジメントという視点からも企画をみれたことが大きな収穫でした。Fairly Educated Conferenceは日本のフェアトレード学生全国サミットと比べると、参加人数も少ないですし、ロジスティック面での弱さはありました。
しかし、参加者のイベント運営への参加働きかけや巻き込み、個々のリーダーシップ、即効性、市やNGO、大学職員との関係構築、イベント自体の戦略的な位置づけなどは日本にはない、もしくは、足りない点でした。
また、共通する課題として、組織の持続性や後継者の育成の仕組み作りはあるのかなぁと感じました。

Fairly Educated Conferenceでは、非常に多くの貢献をしているメンバーがいました。 特にBecを支えていて実行委員の面々は前に出ることはせず、黙って運営を行っており、その献身的な姿勢は好感をもてました。 やはり私は陰に徹することができるこうした人々が好きだなぁと感じました。



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by smile-and-happy | 2015-07-07 06:57 | コラム(その他)
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